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シリアを脱出した人々、韓国の空港で足止め続く

  • uhyoshi-yami
  • 2016年6月2日
  • 読了時間: 3分

港の待合室のベンチで横になったり、部屋の隅で立ったりうずくまったりする男性たち。床は大切な所持品が詰まった小さなスーツケースやビニール袋で隙間なく埋め尽くされている。

韓国ソウルの仁川空港にある待合室で、シリアの内戦を逃れて来た大勢の男女が、韓国への入国を認められるか、シリアに送還されるかの判断を待って何カ月も足止めされている。

ここで暮らして半年になるという20代のムハメドさんは、アレッポの自宅が破壊されてアサド政権から徴兵通知が届き、「戦争に加わりたくなかったのでシリアから逃げた。銃を持つことは望まない」と話す。

弁護士によれば、ムハメドさんのように難民認定を希望して同空港で寝泊まりするシリア人は180人に上る。最高でも50人しか入れない施設に詰め込まれた状態で足止めされているという。韓国司法省は、空港にいるのは116人のみだとしている。

部屋にはベッドも窓もなく、シャワーは男性用と女性用が1カ所ずつしかない。食事は1日3回のハンバーガーとコーラのみ。肉はイスラム教の戒律に従ったハラル食でないことから、ほとんどの人はパンだけを食べる。足を伸ばすため、監視付きで免税店街を歩くこともある。

司法省の許可が出なかったため、CNNは待合室を取材することはできなかったが、ムハメドさんから部屋の様子を撮影した映像の提供を受けた。

ムハメドさんの家族は、全員が出国する金銭的余裕がないため今もシリアにいるという。ムハメドさんはトルコと中国を経由して韓国にたどり着いた。危険を冒して地中海を渡る人たちに比べれば、自分たちはまだましだと話す。「自分の友人や何千人もの人たちが海でおぼれ死ぬのを目の当たりにしたので、自分にはあの道を試すことはできなかった」

韓国到着時に提出した難民認定申請は入国管理局に却下された。難民と認められる明らかな理由がないこと、シリアから直接韓国へ来たのではなく、安全な国を経由して来たことが理由とされた。ムハメドさんの弁護士は、脱北者を北朝鮮に送り返している中国や、一部の難民を追い出しているとされるトルコは安全な国ではないと主張する。

韓国で難民と認定されたシリア人は1994年以来、3人のみ。2014年以降はシリア難民問題に対応した韓国の新しい方針に基づき、668人に「人道的地位」が認められた。しかし福利厚生は受けられず、本国を脱出した原因が解消されれば帰国しなければならない。若者の失業率が上昇している韓国で仕事を見付けるのも難しい。

そんな地位を得ることもムハメドさんにとってはまだ遠い夢だ。シリア内戦が始まる前には大学で経済学を学んでいた。今はただ、狭い部屋に詰め込まれ、自分の運命が決まるのをただ何カ月も待ち続けている。

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