東南アジア襲う記録的熱波、水不足の被害深刻に
- uhyoshi-yami
- 2016年5月13日
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東南アジア各地が記録的な熱波と水不足に見舞われ、農作物や動物への被害が深刻化している。
気象サービスのウェザー・アンダーグラウンドによると、タイ、ラオス、カンボジアは観測史上最高の44.6度を記録した。シンガポールも異常な暑さを観測し、マレーシアでは湖が干上がって野菜の生産が落ち込んでいる。
カンボジアでは水不足が深刻化して学校のトイレ用の水が確保しにくくなった。暑すぎて子どもが登校できず、欠席率が30~40%に達した学校もある。電力不足で扇風機も設置できないと教員は嘆く。
コンポンチュナン州の学校では水質の悪化による下痢や発熱などの症状も懸念される。政府は授業時間の短縮で対応しているが、水を買うための予算が足りないと教員は訴える。
東南アジア最長の川、メコン川は水位が低下し、ベトナム政府の報告によれば1926年以来の低さになった。水位の低下が原因で南シナ海の海水が内陸部に浸食し、土壌が塩化して農作物に大きな被害が出ているという。
世界最大級のコメの生産国であるタイも、熱波や例年の半分に満たなかった昨年の降雨量が原因で不作が予想される。
ベトナムやタイのコメ生産が減れば、輸入に頼るフィリピンやインドネシアで供給が不足して価格が高騰しかねない。
シンガポールでは市民生活に影響が出始めている。同国の輸入野菜の43%を供給しているマレーシアは干ばつに見舞われて輸出量が減少し、シンガポールで40%の値上がりをもたらした。4月の平均気温は過去最高の30.6度を記録した。
マレーシアは主要ダムや貯水池の水位が危険水準にまで低下。干上がった川底にできた水たまりの中では魚が腐り、衛生上の懸念があるとして先月は250以上の学校が休校になった。
動物への被害も広がっている。ベトナムではゾウ2頭の死骸が見つかり、カンボジアではアンコールワットで観光客を乗せていた高齢のメスのゾウが熱中症で死んだ。
インドネシアのボルネオ島では干ばつによる山火事で、絶滅危惧種のオランウータン少なくとも9頭が死んだ。親をなくしたオランウータンの子ども7頭は保護施設の職員に救助された。
東南アジアの今年の干ばつは極めて深刻だと専門家は指摘する。コスタリカの気象専門家は「エルニーニョが強かった1998年と1983年に匹敵し得る。タイの干ばつは1983年以来の深刻さだ」と解説。米カリフォルニア大学の専門家も「過去20年あまりで最悪級の干ばつ」と話す。
ただ、エルニーニョは徐々に弱まりつつあり、カンボジアのコンポンチュナン州では少量の雨が降った。米国立海洋大気局(NOAA)の専門家は、今後は暴風雨や洪水をもたらすラニーニャ現象が強くなる可能性が非常に大きいと予想している。
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