シリア政府、相次ぐ爆弾攻撃でトルコ、カタール、サウジを批判
- uhyoshi-yami
- 2016年5月24日
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シリア西部の地中海沿岸にある都市ジャブラとタルトスで23日、爆発が相次ぎ、多数が死亡した。国営メディアは少なくとも78人が死亡したと伝え、ロンドンを拠点とする民間団体「シリア人権監視団」は145人以上が死亡したと報告している。国営メディアによると、シリア外務省はトルコとカタールとサウジアラビアが和平協議を妨害するため過激派勢力を促したせいだと批判する書簡を国連に送った。過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。
国営シリア・アラブ通信(SANA)によるとシリア外務省は、「リヤドとアンカラとドーハの過激で悪意に満ちた政権が、事態の本格悪化を図った結果の爆弾テロ」だと国連あての書簡で批判し、3カ国が「ジュネーブの(和平)協議と戦闘停止、および停戦合意の成立を妨げようとしている」と糾弾。さらに3カ国が「シリア・アラブ軍が対テロ戦争で成果を上げている」ことから国際社会の目をそらすことが目的だと書いているという。
トルコ、カタール、サウジアラビアはそれぞれ、シリア国内の異なる反政府勢力を支援する一方で、ISと戦う国際的な有志連合にも参加している。
地中海沿岸のジャブラとタルトスは数分の間に7回の爆発が相次いだ。SANAによると、タルトスではバス停で自動車爆弾が爆発。救急隊が現場に急行すると、自爆犯2人が自爆したという。
その数分後にはジャブラのバス停と発電所と病院でそれぞれ、自動車爆弾と自爆犯3人が爆発を起こした。最初に起きた爆発の被害者を病院に運ぶのを手伝った自爆犯が、救急センターで自爆したという情報もある。
SANAによると、ジャブラで45人、タルトスで33人が死亡した。一方で、現地情報をもとに集計したシリア人権監視団によると、ジャブラで97人、タルトスで48人が死亡した。
IS系のアマク通信は、IS関係者の話として、戦闘員たちは「アラウィ派の集まりをねらった」と伝えている。アラウィはイスラム教シーア派の分派で、アサド大統領などシリアの人口の約1割を占める。
アサド政権を支援するロシア政府は、タルトスに海軍基地、ジャブラに空軍基地を設け、シリア国内のIS標的空爆の拠点にしている。
ロシア政府は相次ぐ爆発に懸念を示し、戦闘激化で先月以来中断している和平協議を再開する必要性がこれでますます浮き彫りにされたとコメントした。
ケリー米国務長官はロシアのラブロフ外相と電話会談し、北部アレッポや首都ダマスカス近くのダラヤへの攻撃中止をシリア政府に強く働きかけるよう求めた。
米国務省報道官は、シリア政府軍を抑制する「特別な責任」がロシアにはあると述べた。
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