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TPPを反中協定にすると魅力減

  • uhyoshi-yami
  • 2016年5月11日
  • 読了時間: 3分

 アメリカのバラク・オバマ大統領は2日づけの「ワシントンポスト」紙に寄稿し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を早期に承認するようアメリカ議会に呼びかけた。そうすれば国際貿易のルールを設定できると主張した。「中国などの国ではなく、アメリカがルールを書かなくてはならない。このチャンスをつかみ、TPPを通過させ、貧乏くじではなく、ペンを取ろうではないか」と書いている。オバマ大統領によると、アメリカの主な貿易競合国である中国もアジア太平洋諸国との貿易ルールについて活発に話し合いを行っており、中国政府主導の多国間協定は理論的に「アメリカの雇用、企業、商品をリスクにさらす」可能性があるという。中国外交部はこれに対し、国際的な貿易のルールは一国ではなく世界のすべての国によって決められるべきだとの声明を表明した。オバマ大統領の寄稿文を、「ロシア経済・国家行政アカデミー付属ロシア・アジア太平洋経済協力研究センター」のナタリヤ・スタプラン氏が、「コメルサント」紙向けに分析した。

オバマ大統領のワシントンポスト紙へのTPPに関する寄稿文は、予期せぬあからさまな扇動の一例である。TPP協定を早期に批准するようアメリカ議会を説得することが、現在のオバマ大統領の主要な課題であることはわかる。それならば、まずはアメリカ人にとってどんなメリットがTPP協定にあるのかを話さなくてはいけない。

 また、自身の名誉のためにも、TPP協定がアジア太平洋地域諸国にとってどれだけプラスなのか、地域全体にどれだけの利益をもたらすのかにも触れておくべきだっただろう。オバマ大統領にとって、アジア太平洋地域は、アメリカの対等なパートナーではなく、アメリカの可能性を開く有望な近隣の実験場であり、それ以上でもそれ以下でもない。国際舞台ではTPP参加国すべてが恩恵を受けると言っているが、寄稿文にそのような文言はない。

反中レトリック

 中国は、ここで言及された唯一の外国である。

 攻撃的な反中レトリックは悪い意味で驚かせる。アメリカは政治だけでなく、経済においてさえも、国内を結束させ、重要な決定を行うための唯一の有効策が、特定の敵の指定なのかと思わせる。

 国内の作業レベルでの話ならまだしも、大統領の口からのこのような発言は正式な外交戦略のように響き、中国に対してあからさまに挑戦状を突きつけているようだ。ちなみに中国はいまでも、TPPに対して冷静かつ外交的に反応している。

 このようにして、TPPを「共通の経済的幸福の名のもと」の協定から、「反中」協定に変えることは、対外的な魅力を著しく損ねる。寄稿文からは、アメリカが公には示していない別のポイントも見えてくる。それはTPPが東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に対置するということだ。RCEPは東南アジア諸国連合加盟国+6ヶ国の連携で、中国が積極的な役割を果たしている。

二者択一を迫る?

 TPPとRCEPの対置は軽率である。両方の協定が補完しあうと考え、参加しているアジアの国が、アメリカと中国のどちらかを選ばなくてはいけないのかと不安になるかもしれない。両方の協定に参加しているのはTPPに参加する12ヶ国のうち7ヶ国。どの国も両協定の補完に言及している。

 寄稿文がアメリカ議会の批准を鼓舞したとしても、対外関係においてアメリカには負の影響になりかねない。寄稿文の一部は他の国のTPP反対派に、アメリカの利益推進の証拠として利用される可能性もあるのだから。そうなれば、他の国でTPPの人気が高まらなくなる。

 TPP協定が発効するには、アメリカ国内の批准以外に、他の国の批准も必要になる。その双方の重みがTPPの全参加国のGDP85%を超えるように。寄稿文はアジアのTPPの懐疑論者を引き込むものとはならないだろう。

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