ベルギー、ヨウ素剤配給地域を大幅拡大へ 原発事故に備え
- uhyoshi-yami
- 2016年5月2日
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ベルギー保健省は5月1日までに、国内にある原子力発電所での緊急事態の発生に備えて進めている原発周辺の住民への安定ヨウ素剤の配給の対象区域を拡大する計画を発表した。
これまでは原発から半径20キロ内に住む住民が対象だったが、半径を100キロに拡大する。今回の方針変更は保健省と内務省が実施した他国で発生した核関連事故の影響の調査結果を踏まえた。
配給の対象拡大では、放射能汚染に最も脆弱(ぜいじゃく)とされる子ども、10代層、妊娠中の女性や乳児に授乳している女性保護を重視する。ただ、保健省の報道担当者は供給拡大を全土に広げる計画はないと述べた。高齢層の住民は既に体内に十分なヨウ素を蓄えていることなどを理由に挙げている。
ベルギー内で稼働中の原子炉は現在7基で、電力供給の約半分を賄っている。同国ではこれまで原発に絡む緊急事態が発生したことはない。同国政府当局者は今回の方針変更についてテロへの懸念とは関係がないとも強調した。
安定ヨウ素剤は被曝(ひばく)による甲状腺がんを防ぐ効能があるとされる。過去の放射能汚染の惨事でも使用されたことがある。米疾病対策センター(CDC)は公式サイトで、安定ヨウ素剤の服用は非常事態が起き、公共衛生当局などから指示が出された場合のみに実施すべきと勧めている。
ベルギーでは2003年から原発での緊急事態発生を見据えた対策が打ち出されている。保健省の報道担当者によると、今回の対策の改正は新技術の普及、新たな緊急対策の必要性やこれまでの核関連事故からの教訓などを踏まえた措置としている。
2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故はベルギーの原発の老朽化が進んでいる実情を踏まえ、同国保健省当局者に取り組むべき課題を改めて突き付けたとされる。原子力業界の団体である世界原子力協会の公式サイトによると、ベルギーでの初の商業用原子炉の稼働は1974年となっている。
福島第一原発事故を受け日本政府は周辺住民に安定ヨウ素剤の配布を始めていた。同事故後には米国でも、人々が同剤の購入に踏み切る動きが見られた。
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