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「透ける木材」開発、ガラスやプラスチックの代替に 米大学

  • uhyoshi-yami
  • 2016年5月24日
  • 読了時間: 2分

環境に優しい持続可能な建材として木材が改めて脚光を浴びる中、米メリーランド大学の研究チームがプラスチックやガラスの代替になり得る透明な木材を開発した。

透明な木材は従来の木材よりも頑丈だが、木材と同じように微生物分解が起きる。現代の建築物に多用されているガラスや鉄鋼の代替素材として普及すれば、デザインの概念が刷新されると同時に、暖房費や燃料消費削減の助けになるかもしれない。

開発を手がけたメリーランド大のリアンビン・フー氏によると、透明な木材は2段階で生成する。まず維管束植物に含まれる有機物質のリグニンを化学処理を行って取り除く。これはパルプの製造と同じ工程で、リグニンは樹木の黄色がかった色を作り出している物質だという。

次に補強剤や接着剤として使われるエポキシ樹脂を木材の道管に注入する。この工程にかかる時間は約1時間。これによって、道管の壁を形成している極小繊維の構造を維持して強度を高めながら、透明化された素材が完成する。

この研究は先端素材の学術誌に発表された。

透明な木材は幅広い分野への応用が期待される。

フー氏はまず、ガラスの代替としての利用を見込む。「ガラス窓は断熱性が悪いので、夏も冬も大きな問題がある」(フー氏)。木材は天然の断熱効果があり、冬の寒さや夏の暑さを防ぐ効果はガラス窓よりも優れているという。

また、透明な木材には光の吸収率が高いという特性もあり、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池に利用すれば、最大で30%の効率向上が見込めるという。

建築や工学の分野では、環境に優しい建設素材としての可能性も大きい。「木材は潜在的に、鉄鋼と同程度かそれ以上の重量当たり強度を実現できるかもしれない。重量は木材の方が軽いというメリットもある」とフー氏は言う。

同氏のチームはさらに研究を進めるための資金を募っており、透明な木材は数年で商品化できると見込む。既に企業からの引き合いも相次いでいるという。

「この素材は昔から使われていて、木材産業では既に多くのノウハウが蓄積され、製造インフラも整っている。従ってこの分野は非常に速いペースで成長するだろう」とフー氏は予想している。

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