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シリアのユネスコ世界遺産の将来

  • uhyoshi-yami
  • 2016年5月10日
  • 読了時間: 4分

 本紙の記者は、ロシアで禁止されている「イスラム国」からのパルミラ解放に参加したロシアとシリアの軍の兵士らと会い、また、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の遺産都市の将来に思いを馳せた。

早朝、私たちの車列は、ラタキアから300キロ先のパルミラを目指した。

 記者らが乗った車は、ロシアの陸軍と航空宇宙軍に伴われて進む。地上からは、数台の30ミリ砲を備えた装甲兵員輸送車BTR-82Aと特殊任務部隊の隊員を乗せた「ティーグル」クラスの装甲車が車列を掩護し、上空からは、戦闘ヘリコプターのMi-24とKa-52が一行の安全を確保している。

パルミラの現状

 沿道には、国民解放軍の兵士のいる監視所が、5~10キロおきに置かれている。ロシアの装甲車と記者らを乗せた車の列を目にすると、人々は、手を振って歓呼の声を上げはじめる。

 監視所の備えはさまざまであり、人工の盛土という最小限の防御施設に歩兵の小隊がいるだけのところもあれば、塹壕に戦車や火砲が置かれているところもあるが、ロシアの軍人らの説明によれば、それは、テロリストらとの戦闘が行われている地点である。

 6時間後、私たちは、解放されたパルミラに到着し、凄まじい砲声で迎えられる。それは、「イスラム国」の戦闘員の拠点に対するシリア軍の砲撃の音であり、そこから15キロの地点では、前日、スフナ市に拠点を築いたテロリストらとの戦闘が行われた。

 現在、パルミラの近くには、ロシア軍の臨時の基地が置かれており、そこには、軍隊および作業中の工兵を空からの攻撃から掩護するために自走高射ミサイル砲システム「パーンツィリ-S1」が備えられている。数基のレーダーも目に入るが、ロシアの軍事基地に関する情報は「極秘」扱いの国家機密であり、それ以上は明かせない。

解放

 かつて人口5千人を数える賑やかな観光都市があった場所に残ったのは、空っぽの半壊の建物ばかり。至るところに火砲や戦車の弾痕が見られ、機関銃や自動小銃による孔のない壁は一つもないとの印象を受ける。

 シリア軍のある兵士の話では、最も熾烈な戦闘が行われたのは、パルミラの歴史的部分ではなく、狭い路地や低い建物が密集する地区であった。

 シリアの兵士は、そのときの様子をこう振り返る。「あの戦闘にロシア空軍は参加しなかった。戦闘は歩兵だけで行われ、白兵戦に至ることもあった」

 その兵士は、「イスラム国」の戦闘員の主体となっているのは、イスラム教に帰依して内戦に参加するためにやってきた外国人である、とし、「何らかの思想的な理由でやってきた者もいれば、楽な儲け口や金が目当てという者や単に戦争がしたかったからという者もいる」と話す。

 プロの戦闘員は、全体の20%にすぎず、残りの80%は、戦闘に駆り立てられた肉弾であり、その兵士は、「彼らは、攻撃の際に何をすべきか分からず、自分のいる場所も把握できず、火点も掩護物も見い出せなかった」語る。

 戦闘員の中には、拘束された住民を相手に「小さなビジネス」に勤しむ者もいた。たとえば、テロリストは、町から連れ出してパルミラ郊外の最後の監視所まで連れて行って「自由の身」にしてやるという話をある人もしくはある家族に持ちかけていたが、その自由とは、ホムス市まで歩いて百キロもある荒野の真ん中に食べ物も水もなしに置き去りにされることを意味していた。そうした「逃亡」を依頼した人は、有り金をすべて奪われ、「解放」後にテロリストに射殺されることもよくあった。

解放された町の地雷の除去

 現在パルミラにいるロシア工兵軍の長官であるユーリイ・スタヴィツキイ陸軍中将が本紙に語ったところでは、ロシアの工兵らは、町の歴史的部分においてだけで234ヘクタールの土地から3000の爆発物を撤去した。

 同中将は、「テロリストらは、ほとんど隙間なく地雷を敷設した。彼らは、新しい敷設のメソッドを用いており、地雷の一部は、除去が不能となっている」と指摘する。

 同氏によれば、テロリストの中には、新型の爆破装置を創り出せる熟練の工兵もいた。

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