【社説】化学製品に怯える韓国国民、早急に対策を
- uhyoshi-yami
- 2016年5月6日
- 読了時間: 3分
加湿器殺菌剤問題が注目を集める中、国民の間で化学物質全般に対する恐怖心が広がっている。国民はこれまで特に疑問を感じることなく芳香剤やカビ除菌剤、電子蚊取り線香、手洗い用消毒剤、ウェットティシュー、アイロン用スプレーのり、ガラス洗浄剤、葉面光沢剤など様々な化学製品を使ってきた。ところがこれらが加湿器殺菌剤と同じく、自分と家族の健康を害し、生命に致命的な影響を及ぼしていないか、関心が高まっているのだ。4日もある政府機関が行った調査結果が公表されたが、それによるとアイロン用スプレーのりや芳香剤、脱臭剤に、加湿器殺菌剤の原料として使われた有毒物質だけでなく、呼吸困難を引き起こし肝臓に致命的な影響を及ぼす物質が複数含まれていたことがわかった。
このままだと国民の恐怖心はますます膨れ上がり、日常生活で化学製品のほとんどが使えなくなるだろう。手の消毒剤はもちろん、衣服の臭い除去スプレーや、植木に使っていた葉面光沢剤も人体にどのような影響があるのかわからないため、安心して使うことはできなくなる。化学物質の使用を控えること自体は望ましいことだが、使えるものと使えないものの区別がつかず、全てが使えなくなってしまっては、現代人の便利な生活は何十年も後退してしまうだろう。
環境部(省に相当)もついに重い腰を上げ、殺菌や抗菌の機能がある化学物質については、今後その安全性が確認された原料物質だけを使えるようにする許可制の導入を発表した。ただ問題は化学物質に対する独自の評価には多くの労力と時間がかかるという点だ。環境部は昨年、アイロン用スプレーのりなど3種の生活用品について、その有害性を評価するのに1年近くの時間がかかった。ちなみに欧州連合(EU)は加盟国が役割を分担し、2005年から20年かけて殺菌・抗菌剤の危険性に対する評価を行っている。
加湿器殺菌剤の原料として使われているPHMGとPGHについて、環境部は2003年に有毒物質リストから除外したが、今回の加湿器殺菌剤問題を受け、同種の殺菌剤原料としての使用を改めて禁止した。このような致命的なミスが今後も繰り返されれば、国民は政府を絶対に信用しなくなるだろう。殺菌・抗菌剤についてEUは500種類以上を使用禁止対象に指定しているが、韓国で使用が禁止されているのはわずか26種類しかない。国立環境科学院は昨年発表した報告書の中で「韓国国内で販売されている脱臭剤や芳香剤の中には、環境部が有毒物質に指定した原料が使われている」と明らかにした。つまり政府による毒性物質の管理自体が非常にずさんだったということだ。
政府は国民が日常生活で安心して化学製品を使えるよう、早急に対策をとりまとめなければならない。それにはまず国民がすでに日常生活で使っている化学製品について、その危険性に対する評価をできるだけ早急に行い、何が安全で何が安全でないかを確実に区別しなければならない。安全性が確認できないものはその通り情報を公開し、消費者が自ら判断できるようにしておくべきだ。製品の原料に化学物質を使用する企業も、国民の恐怖心を和らげることに最大限の力を投入しなければならない。
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