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海に浮かぶ原発、中国が20基の建設を計画

  • uhyoshi-yami
  • 2016年5月2日
  • 読了時間: 3分

中国が海上に浮かべた大型施設の上に、原子力発電所20基を建設する計画を進めている。複数の国が領有権を争っている南シナ海の人工島に電力を供給する可能性もある。

計画では、中国の造船所で小型の原子炉を建造して大型のはしけに乗せ、電力を必要とする地域まで曳航。そこで現地の配電網や原油掘削施設に電力を供給する。

中国は2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて原発の計画を一時的に中止していたが、その後はクリーンエネルギーとして風力や太陽光、原子力発電を推進する姿勢を打ち出した。

2016年の原子力計画は今年3月に打ち出した第13次5カ年計画に盛り込まれた。完成すれば、2030年までに中国の原子力発電の発電量は世界一になる。海上原発20基の建設もこの計画に含まれる。だが安全性や経済性を巡って疑念が噴出している。

海上原発は米国でも前例があり、ロシアも現在建設を進めている。しかし中国の計画ははるかに野心的だ。まず2017年から海上原発の建設に着工し、20年から発電を開始する。計画されている20基のうち、最初の発電所は南シナ海の海南島に設置される公算が大きい。

報道によると、石油・天然ガス開発を手がける中国海洋石油総公司は南シナ海の海底探索のために海上原発を利用する見通し。また、中国が南シナ海に建造している人工島への電力供給に使うことも検討されているという。

利用するのは発電能力50~100メガワットの小型原子炉で、同様の原子炉は大型原子炉の代替として米国や欧州でも検討が進む。大型原子炉と同じ技術を使いながら工場で組み立てられるため、大幅にコストを削減できるというメリットがある。

こうした小型原子炉では原発最大のリスク要因である冷却剤喪失事故の危険性を排除または低減でき、大型原子炉に比べて安全性は高いという意見もある。

しかし海上では船舶のように不測の事態に見舞われたり、悪天候や高波にさらされて沈没する危険もある。

地上の原発に比べると、外部電力の喪失やテロ攻撃といった外的要因から原子炉を守ることも難しく、安全に運転を続けるためのメンテナンスも困難が伴う。

原子炉が水没して冷却に必要な電力が失われればどれほど深刻な事態を招くかは、福島第一原発の事故で見せつけられた。

原発事情に詳しい英ケンブリッジ大学のトニー・ルールストン氏は、「中国当局は世界各国と同じ安全基準を採用するのかもしれないが、そのプロセスは不透明で、海上の原発が地上の原子炉と同程度の安全性を確保できるのかどうか、外部からは判断できない」と指摘している。

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