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【社説】料金引き下げで電力の浪費を促す韓国政府

  • uhyoshi-yami
  • 2016年5月9日
  • 読了時間: 2分

 産業通商資源部(省に相当)は昨年に続き今年も7-9月の3カ月間、家庭用の電気料金を小幅に引き下げる方向で調整を進めていることが分かった。電力の予備率が50%を上回るほど電力がだぶついていることから、需要が急増する夏の期間に電気料金を下げ、消費を促すのが狙いだ。

 電気料金の引き下げに反対する人間は誰もいないだろうが、問題は政府の電力供給政策が状況によってすぐに変わることにある。5年前には電力不足が発生し、ソウル市内の162万戸で5時間以上にわたり電力供給をストップする「循環停電」が行われた。当時、政府は工場稼働を中断させ、冷房中にドアを開けたまま営業する商店を取り締まるなどの対応に奔走した。さらに韓国電力や民間企業に対しては発電所の建設を強く求めた。その結果、民間企業が建設した液化天然ガス(LNG)発電所の発電容量はここ5年で50%も急増したが、短い期間で一気に設備を増やしたため、これら民間発電所の稼働率は50%前後にまで低下している。政府が進めた電力供給能力の拡大策が、今では供給過剰をもたらしているのだ。

 経済成長率が低下しつつある状況で電力消費だけを増やすのは難しい、家庭用電気料金を夏の数カ月間一時的に下げるだけでは、今の供給能力の過剰状態を解決することはできないだろう。

 今後は将来の産業構造の変化や成長率などを総合的に見極めた上で、政府はより効率的な電力需給に向けた根本的な対策を取りまとめなければならない。ちなみに政府は企業に対してエネルギーの浪費をあおる産業用電力料金の特恵見直しや、低所得層に配慮した電気料金など新たな課題については今なお検討さえ始めていない。電力がだぶついたからといって浪費をあおっているようでは、数年後に再び電力需給が逼迫(ひっぱく)すると、また節電キャンペーンを行うようになるだろう。目の前の状況にしか対処しない一時的な対策ばかり続けていてはならないのだ。

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