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ドローン・タクシーを開発へ

  • uhyoshi-yami
  • 2016年5月24日
  • 読了時間: 3分

 無人航空機タクシーの製作を計画しているロシアの新興企業「アヴィアトン」は、国から1600万ドル(約17億6000万円)の助成金を受けとる。この70%は最初の試作品の製作に必要な金額。開発者によると、この新しい無人機「セルヴェルトSV5B」は、飛行機とヘリコプターの機能を組み合わせたものになるという。

無人機開発の助成金

 試作品の製作に必要な費用は、「国家技術イニシアチブ(NTI)」プログラムの一部である国家革新産業支援機構「アエロネット」から配分される。NTIでは、無人航空機の開発が優先課題の一つとなっている。

 NTIは、ロシアが2035年に向けてトップを目指す新市場を定めている。無人航空機以外にも、個別化医療および人工知能などが、優先項目となっている。NTIは2015年に創設された。

 アエロネットの予測によると、2025年までにロシアの上空を無人航空機が10万機以上、常時飛行することになる。また、世界の無人航空機市場は2025年までに2000億ドル(約22兆円)規模まで拡大し、ロシアのシェアは350~400億ドル(約3兆8500~4兆4000億円)以上になる可能性もあるという。

 とはいえ、この時期までに解決しなければいけない問題はたくさんある。例えば、無人機に対する法的規制だ。有名なカーデザイナーのウラジーミル・ピロシコフ氏は、ロシアNOWにこう話した。「適切な試作機が登場するまでに5~8年かかる。その後、空の交通規制、認証、空間ナビゲーション、安全の規則の作成、燃料補給拠点の確保まで詰めていかなくてはいけない。これらの問題が解決するまでにあと10年は必要」

空飛ぶタクシー「セルヴェルトSV5B」第一弾の模型

無人航空機タクシーはどこを飛ぶか

 アエロネットの予測によると、無人航空機は将来的に、生体材料や医薬品の運搬に使用できるようになるという。アヴィアトン社の開発者も、貨物から始めようとしている。だが目的は乗客を運ぶ無人機である。

 セルヴェルトSV5B機では、飛行機とヘリコプターの機能を一体化させる。つまり、ヘリコプターのように垂直飛行し、飛行機のように長距離を移動するのである。量産できれば、1機70~100万ドル(約7700~1億1000万円)ほどの価格になる。開発者によると、飛行場ではなく、直径30メートルほどの場所を拠点にできる。アエロネットのセルゲイ・ジュコフ理事はこう話す。「プロジェクトは乗客用のタクシーとしてとても有望。空港インフラのないところでは特に」

 「当社の計算では、1キログラムの貨物を100キロメートル先に輸送する場合、原価は0.15ドル(約16.5円)。一人の乗客を100キロメートル先に輸送する場合、10~15ドル(約1100~1500円)」と、アヴィアトン社のアヴタンジル・ハチャプリゼ最高責任者(CEO)はロシアNOWに話した。ハチャプリゼCEOによると、このプロジェクトはその特性で既存のプロジェクトとは異なるという。「”空飛ぶ自動車”のほとんどはクワッドコプターに似ているため、飛行距離に限界がある。当方にはそのような問題はない」

無人自動車

 NTIの優先課題には、上空だけでなく、地上の無人機の開発もある。NTIの一環として4月、ロシアに試験場が創設された。開発者はここで、無人車両が走行する道路の危険な状況をシミュレーションできる。試験場の創設には、ケンブリッジ大学とマサチューセッツ工科大学の専門家も関わった。

 「自動車の挙動すべてを試験する。この自動車はロシアの道路で遭遇しうる厳しい気象条件でも動き、交通事故を未然に防止するための可能な挙動モデルすべてを読み取らなくてはいけない」と、国立研究技術大学「モスクワ国立鋼合金大学」人工頭脳工学講座のオリガ・ウスコワ主任はロシアNOWに話した。

 現在、「カマズ」トラックで無人機開発が行われている。「カマズ自動車ロボット」のアントン・エメリヤノフ最高責任者は、2020年までに無人トラックがロシアの道路を走るようになる、と話した。とはいえ、無人航空機と同様、それまでに法的基盤を整える必要がある。

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